湖に張った氷を思い浮かべて下さい。きれいに製氷された氷と所々にカケやヒビのある氷。あなたならどちらの上を渡りますか? 余程の冒険心が無い限り、安全性を考慮すれば答えは薄いがきれいに製氷され張った氷でしょう。昨今の半導体業界におけるチップの薄膜化の流れ。実はこの氷と同じ様な危険性を孕んでいます。今回はDBGプロセスメリットとして氷で言うところのカケやヒビに相当する裏面チッピングの低減についてご説明したいと思います。
裏面チッピングとは?
従来工程においてダイシングはテープに貼り付けられたウェーハをフルカットにてチップ単体に分割します。この時チップをきちんと分割するためにテープに切り込んで加工を行うのですが、このことによりダイシングの加工応力は裏面(テープ側)に抜け、裏面にチッピングが発生してしまいます。 しかし、DBG加工ではチップはグラインディングにて分割されるため、ハーフカットにて入った切削応力は削り取られてしまい、裏面チッピングが低減するのです。
何故裏面チッピングが悪影響を及ぼすのか?
加工チップの強度は、曲げ試験でチップが破断する際に材料内部で発生する内部応力値である抗折強度にて測定されます。この抗折強度ですが、主に下記の3つの要素で構成されています。
1.ウェーハ自体の強度(結晶方位、結晶欠陥含む)
2.裏面研削による影響(研削痕、破砕層)
3.ダイシングによる影響(裏面チッピング)
従って、異常な裏面チッピングを持ったチップは所々にカケやヒビのある氷の用に容易に割れてしまうのです。
DBGのメリット
DBG加工では、チップはグラインディングにて分割されるため、ダイシング時の裏面への切削応力を気にする必要がありません。また、ダイシング工程にてハーフカット方式を用いる事により、従来工程で裏面チッピング低減のために行う様なステップ・ベベルカットを殆ど多用する必要性が無く、スループットの向上にも一役立っているのです。特に、昨今半導体業界は小チップ化、薄チップ化、生産率向上を視野に入れた大口径化が進んでいます。薄くなったチップにおいては、裏面チッピングの影響も一段と顕著に現れる事から、ダイシング時に特殊な加工を施す必要無く裏面チッピングを低減を実現したDBG加工は大きなメリットを生んでいるといえるでしょう。また、ダメージの少ない裏面は、ストレスリリーフ加工を併用する際、その抗折強度向上というメリットを最大限に生かすことも出来るのです。